3. フェイク情報対策を「経営施策」に変える
では、企業はどのようにフェイク情報への対策を実務に落とし込めばよいのでしょうか。単に「社員に勉強させる」だけでは意味がありません。具体的な社内施策として以下のようなアクションが効果的です。
(1)社内研修・勉強会の導入
環境分野の専門家を招いての社内研修や、気候変動に関する動画教材の視聴会を定期的に実施することで、社員のリテラシー向上を図ります。たとえば、YouTubeの「環境省公式チャンネル」や、JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)の学習コンテンツなどが手軽に使えます。
(2)広報資料のファクトチェック体制
社外に発信するパンフレットやWEBコンテンツ、SNS投稿について、「事実確認(ファクトチェック)」を行う簡易マニュアルを整備し、チェックリスト形式で運用することが推奨されます。
(3)リスクシナリオの共有
「このような誤情報がSNSで拡散した場合、自社にどのような影響があるか」という仮想シナリオを立て、社内でシミュレーションしておくと、万一の際の対応速度が大きく変わります。
(4)第三者機関との連携
信頼できる外部機関(地域の環境団体、大学、専門コンサルなど)と連携し、情報監修や研修実施を委託することも有効です。
これらは単なるリスク管理ではなく、「社内外の信頼構築」という企業価値そのものを支える投資です。
4. 脱炭素は“稼ぐ力”にもなる
「脱炭素って、結局コストじゃないの?」という疑念は、特に中小企業経営者の間では根強いかもしれません。
たしかに、再エネ導入や建物の断熱化などは初期費用がかかります。しかし、脱炭素への取り組みは中長期的に以下のような“非財務価値”を企業にもたらします。
- 優秀な若手人材の採用力向上(ミッション共感型の人材が集まる)
- 金融機関からの評価アップ(ESG対応企業として融資条件が好転)
- 取引先からの選定要件への対応(大企業が環境基準を厳格化する中、対応力が評価される)
- 地域社会との連携強化(地域清掃や学校連携などの活動が信頼を醸成)
例えば、ある中小製造業では、工場の屋根に太陽光パネルを設置したことで、年間100万円以上の電気代を削減できました。
さらに「再エネで生産している工場」として大手企業からの評価が上がり取引が拡大した、という結果を導いた事例もあります。