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【40代経営者必読】地球温暖化対策はコストではない。中小企業が「脱炭素」を競争力に変える経営戦略

「地球温暖化って、結局よくわからない」

「対策が必要なのは分かるが、うちのような中小企業には関係ない遠い話だ」

経営者仲間との会話や日々のニュースに触れる中で、心のどこかでそう感じてはいませんか?もし、少しでも思い当たる節があるなら、この記事はまさに、あなたのためのものです。

本コラムでは、今さら聞けない地球温暖化の基本から、なぜ今、中小企業こそが「脱炭素」を経営戦略の中心に据えるべきなのか、その理由を政府の一次情報などの客観的なエビデンスを交えて解説していきます。

これは、慈善活動やボランティアの話ではありません。コストを削減し、新たなビジネスチャンスを掴み、優秀な人材を惹きつけるための、シビアな「経営戦略」の話です。この記事を読み終える頃には、地球温暖化対策が、あなたの会社の未来を切り拓くための強力な武器になることに気づくはずです。


第1章:3分でおさらい!「地球温暖化」で、一体何が起きているのか?

まず、基本のキから確認しましょう。地球温暖化とは、人間の活動によって「温室効果ガス」と呼ばれるガスが大量に放出され、地球全体の平均気温が上昇している現象のことです。

中でも最も大きな原因となっているのが、石油や石炭などの化石燃料を燃やすことで発生する二酸化炭素(CO2)です。日本の温室効果ガス排出量のうち、実に9割以上をこのCO2が占めています

「気温が少し上がるくらい、大したことないだろう」と思うかもしれません。しかし、気象庁のレポートによれば、日本の年平均気温は、100年あたり1.40℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降、記録的な高温となる年が頻発しています。

このわずかな温度上昇が、異常気象の引き金となります。

  • 豪雨の激甚化: 気温が上がると、空気中に含まれる水蒸気の量が増え、これまで経験したことのないような短時間の集中豪雨が発生しやすくなります。
  • 猛暑日の増加: 40℃を超えるような危険な暑さが常態化し、熱中症のリスクだけでなく、屋外での作業効率の低下や、空調コストの増大に直結します。
  • 農作物・漁業への影響: コメの品質低下や、海水温の上昇による漁獲量の変化など、私たちの食を支える一次産業にも深刻な影響が出始めています。

気象庁は、このまま温暖化が進めば、工業化以前は100年に一度だった大雨が、約2.8回に増えると予測しています。これは、洪水や土砂災害のリスクが飛躍的に高まることを意味します。もはや地球温暖化は、遠い未来やどこか別の国の話ではなく、私たちの事業基盤そのものを揺るがす「そこにある危機」なのです。

この危機に対し、日本政府は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする(カーボンニュートラル)」という目標を掲げ、2030年度には2013年度比で46%削減するという野心的な中間目標を設定しています。これは、社会のあらゆるシステムを「脱炭素」へと作り変えるという国家の強い意志表示であり、すべての企業がこの変革に適応を迫られる時代の始まりを告げています。


第2章:なぜ今、中小企業が「地球温暖化対策」を急ぐべきなのか?

「国の目標は分かった。でも、なぜ体力のない中小企業が率先して取り組む必要があるんだ?」

その答えは明確です。なぜなら、地球温暖化対策(=脱炭素経営)に取り組むことが、リスクを回避し、新たな成長機会を掴むための最も確実な道だからです。

理由1:取引先から「選ばれる」ための必須条件になる

近年、Appleやトヨタ自動車といったグローバル企業は、自社だけでなく、部品や原材料を供給するサプライチェーン全体でのCO2排出量削減を強く要請するようになっています。

これは何を意味するか。つまり、「脱炭素に取り組まなければ、どれだけ品質や価格が優れていても、大手との取引から排除される」時代が来ているのです。逆に言えば、いち早く対策を進めることで、競合他社に差をつけ、「環境意識の高い、信頼できるパートナー」として選ばれる大きなチャンスになります。2024年版「中小企業白書」でも、大手自動車メーカーの目標設定を受けて、部品を供給する中小企業が脱炭素化へ舵を切った事例が紹介されています。

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fukunaga

ジョブオール代表。環境と広報の専門家。脱炭素カードゲーム開催数日本No.1ファシリテーター。環境省認定制度 脱炭素アドバイザー ベーシック。一般社団法人 日本SDGs協会 広報局長。全国で講演活動中。学生時代はバンドマン。20代はIT起業、30代は家業のDX化、40代は経済団体で地域経済貢献。趣味はランニング、2025年12月フルマラソンチャレンジ。

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