環境コラム 環境事業

【40代経営者必読】もはや「知らない」では済まされない。世界のルール変更と、中小企業が“今”打つべき一手


第2章:あなたの会社は大丈夫?日本企業を襲う“3つ”のコスト増

世界の分断は、対岸の火事ではありません。むしろ、資源のほとんどを海外に依存する日本の中小企業にとって、その影響は死活問題です。具体的には、以下の3つのコストがあなたの会社経営を直撃します。

  1. 直接的な「輸入コスト」の増大原材料、部品、燃料など、あらゆるものの調達コストが上昇します。これは円安だけの問題ではありません。世界的なサプライチェーンの再編により、輸送コストや人件費も高騰し、これまでの価格で仕入れることは不可能になります。
  2. 見えざる「調達リスク」の増大「安さ」を理由に特定の国からの輸入に依存している場合、その国との関係が悪化したり、紛争が起きたりすれば、事業が完全にストップするリスクがあります。例えば、中国からの輸入が停止した場合、事業継続が困難になる企業は53%に上るという調査結果もあります(参照:2022年 帝国データバンク)。これは、もはやリスクではなく「そこにある危機」なのです。
  3. 環境規制対応という「未来コスト」の増大世界がブロック化する中で、「環境」は新たな貿易のルールになりつつあります。代表的なのが、EUが導入した「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」です。これは、環境規制の緩い国からの輸入品に対し、事実上の関税を課す仕組みです。今後は「CO2をどれだけ排出して作った製品か」が問われ、対応できなければ国際市場から締め出されることになります。これは、もはや大企業だけの話ではありません。サプライチェーン全体での対応が求められるため、すべての中小企業が取り組むべき経営課題なのです。

これらのコスト増は一時的なものではありません。今後、恒常的に続く「新しい常識」です。この現実から目を背けていては、会社の未来はありません。


第3章:今すぐ打つべき一手。中小企業が取るべき具体的・着実な3つのアクション

では、我々中小企業はこの大きな構造変化にどう立ち向かえば良いのでしょうか。悲観する必要はありません。むしろ、これは旧来の価値観から脱却し、新しい成長の活路を見出す千載一遇のチャンスという見方もできます。

私たちが提案するのは、以下の3つの具体的かつ着実なアクションです。

アクション1:徹底的な「エネルギーコスト」の見直し

まず、最も即効性があり、すべての中小企業が取り組むべきなのが、エネルギーコストの削減です。これは単なる経費削減ではありません。外部環境の変化に強い、筋肉質な経営体質への転換を意味します。

  • Step1:現状把握
    まずは、自社のエネルギー使用量を正確に把握しましょう。どの設備で、いつ、どれだけの電力が使われているのか。「見える化」することが第一歩です。
  • Step2:省エネ設備の導入LED照明への交換
    高効率な空調や生産設備への更新は、着実なリターンが見込める投資です。各種補助金を活用すれば、初期投資を大幅に抑えることも可能です。
  • Step3:自家消費型太陽光発電の導入
    工場の屋根や遊休地があるなら、太陽光発電の導入を真剣に検討すべきです。燃料費高騰や再エネ賦課金の影響を受けない「自前の電力」は、今後ますます価値を高めます。これは、エネルギーを「買う」から「創る」への発想の転換であり、企業の自立性を高める強力な一手となります。

アクション2:「サプライチェーン」の国内回帰と再構築

「安ければどこからでも」という時代は終わりました。これからは、「顔の見える、信頼できる相手から」調達することが重要になります。

  • 国内調達への切り替えを検討するこれまで海外から調達していた部品や原材料を、国内の企業からの調達に切り替えられないか検討しましょう。コストは一時的に上がるかもしれません。しかし、為替変動リスクや地政学リスクから解放され、安定した供給が確保できるメリットは計り知れません。
  • 地域内での連携を強化する(地産地消)あなたの会社の近くに、連携できる企業はありませんか?地域の企業同士で連携し、原材料の調達から製造、販売までを地域内で完結させる「地域内経済循環」は、災害時にも強く、輸送コストも削減できる強靭なビジネスモデルです。

これは、単なる調達先の変更ではありません。国内、そして地域社会と共に生き残るという経営哲学の転換なのです。

次のページへ >

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

fukunaga

ジョブオール代表。環境と広報の専門家。脱炭素カードゲーム開催数日本No.1ファシリテーター。環境省認定制度 脱炭素アドバイザー ベーシック。一般社団法人 日本SDGs協会 広報局長。全国で講演活動中。学生時代はバンドマン。20代はIT起業、30代は家業のDX化、40代は経済団体で地域経済貢献。趣味はランニング、2025年12月フルマラソンチャレンジ。

-環境コラム, 環境事業