前回は広報と営業の関わり方について解説しました。
今回は広報活動において重要となるペルソナについて解説します。
ペルソナとは、自分のサービスを知ってもらいたい「理想のお客様」のことを指します。ペルソナ(理想のお客様)を設定し、その人に対する具体的なアプローチを考えることで、マーケティング活動の効果を最大化することができます。
この記事ではペルソナに関する基礎知識を解説し、設定する方法やメリット、注意点などをご紹介します。
広報活動の効果がなかなか出ない、まずはペルソナ設定からという広報PR担当の方は、参考にしてみてください。
前回の記事はこちらから
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広報におけるペルソナとは?
「ペルソナ」とは、マーケティングの分野でよく使われる概念です。
その意味や重要性について、今一度確認しましょう。
ペルソナとは
ペルソナは、本来「人格(Persona)」を指します。もともとは俳優が演技をする際に役の仮面をかぶることを指していましたが、それが転じて、人格や性格などを意味するようになりました。
広報の世界では、ペルソナとは「特定の商品をリーチしたい架空の人物」を表しています。商品開発やサービスの改良・販促などを行う際に、ペルソナを詳細に設定することで、ユーザー目線での開発ができるなど多くのメリットがあるためとても重要です。
この手法を「ペルソナ分析」と呼び、多くの企業が取り入れています。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナと似たような概念に「ターゲット」がありますが、この二つには重要な違いがあります。
ペルソナは特定の商品やサービスに興味を持ちそうな架空の人物像を指します。一方、ターゲットは実在する属性の集団を指し、広く分類したものを言います。
例えばターゲットは「30代 独身男性」というような属性を指すのに対し、ペルソナは「 ××さん 33歳 独身 百貨店の営業職で11年目 休日は一人で過ごすことが多い」など詳細に定めるものです。
ペルソナを設定する際には、単に属性を列挙するだけでなく、その人物の背景や行動パターンなどを具体的にイメージすることが重要です。
ペルソナとターゲットの違いを明確に理解することで、広報活動の効果を高めることができます。
ペルソナ設定に向けたアプローチとは
ではペルソナを設定するにはどのような手順を踏むべきでしょうか。
ここからはその具体的なステップを紹介します。
STEP1.お客様アンケートやヒアリングでの調査
まずは、自社の顧客に対してアンケートやヒアリングを行い、顧客像の概要を把握します。
アンケートは店頭、メール、SNSなどで実施できます。店舗ではアンケートと同時にヒアリングも行い、属性だけではなく細かな情報も収集しましょう。
すでに持っている顧客データと新たに得た情報を組み合わせることで、より詳細な顧客像を描くことができます。
STEP2.データからカテゴライズ
収集した情報を、以下の2つのカテゴリに分類し整理します。
1. デモグラフィック:年齢、性別、職業、家族構成などの基本的な要素
2. サイコグラフィック:人格、価値観、興味、ライフスタイルなどの心理的な要素
これらの情報を整理することで、ペルソナがより具体的になります。
STEP3.具体的にペルソナを構築する
最後に、収集した情報を元に具体的なペルソナを作成します。ペルソナの項目をまとめたシートを作成し、必要な項目を埋めていきます。
以下の表は項目の例です。
・名前
・年齢
・性別
・職業
・部署
・役職
・年収
・通勤時間
・住所
・趣味
・家族構成
・交友関係
・日課
・よく使う電子機器
・SNS利用状況
・情報招集方法
・好きなメディア
・悩み
ペルソナを設定する際には、テキストだけでなく、写真やイラストなどのビジュアル要素も加えると良いでしょう。
これにより、ペルソナを理解しやすくなります。
ペルソナを設定するメリット
次に、ペルソナを設定することによる3つのメリットについて解説します。
メリット1.チームで目標を共有できる
ペルソナを設定する第一の利点は、どういう人に届けたいかという目標をチーム内で共有しやすくなることです。
たとえば「40代独身男性」という広い範囲のターゲットだけでは、どういう職種の人なのか、どういうものに興味があるのかなど、各メンバーがイメージする人物が異なるかもしれません。このような場合、意見の食い違いが生じ、広報戦略の策定が難しくなります。
ペルソナ設定では、属性だけでなく心理的要素や行動範囲など、実在する人物像を想定します。
これにより、チーム全体が届けたい人を具体的にイメージし、マーケティング活動を円滑に進めることができます。
メリット2.ユーザー視点からの商品開発
ペルソナを設定する第二の利点は、ユーザーの視点に立った商品開発ができることです。
広範なターゲットを対象にする場合、どのような商品を開発すべきかが曖昧になりがちです。結果として、満足度の高い商品やサービスを提供できない可能性があります。
ペルソナを設定することで、個々の人物像に合わせた商品やサービス開発が可能となります。ユーザーの関心事や解決したい問題を具体的に把握し、ニーズに合った商品を提供することができます。
これにより、ユーザーの満足度を高めることができます。
メリット3.精度の高い広報活動
ペルソナを設定する第三の利点は、広報活動の精度を向上させることです。
特に、ペルソナに近いユーザーがどのような反応を示すかを把握できるデータを活用すると、マーケティング活動の具体性が向上します。これにより、効果的なマーケティング戦略を選択しやすくなります。
ペルソナ設定後も、定期的な見直しを行い、現実的な人物像を維持することが重要です。また、ペルソナを基にしたマーケティング活動は、従来の広告やプロモーションよりも効果的な場合があります。
マーケティング活動の成果を向上させたい場合は、ペルソナ設定を見直してみることをお勧めします。
ペルソナ設定の際の3つの注意点
ペルソナ設定を行うことでより効果的な広報活動ができる一方、ペルソナを設定する際に注意すべきポイントも存在します。
ここからはペルソナ設定に関する注意点について解説します。
注意点1.データの正確性を確保すること
ペルソナを設定する際の最初の注意点は、収集したデータの正確性を確保することです。データの内容によってペルソナ像が大きく変わるため、信頼性の高いデータを収集することが重要です。
また、インターネット上の口コミ情報を収集する場合は、情報の信頼性を確認しながら活用することが重要です。
注意点2.現実的なペルソナを設定すること
ペルソナを設定する際の次の注意点は、現実的な人物像を設定することです。ペルソナは架空の人物ですが、実際のデータに基づいた人物像を想定することが重要です。
現実に存在する人のようなペルソナを設定することで、適切なマーケティング戦略を策定することができます。
注意点3.内面まで詳細に設定すること
ペルソナを設定する際の最後の注意点は、ペルソナの内面まで詳細に設定することです。氏名や年齢だけでなく、趣味やライフスタイル、家族構成などの情報を含め、ペルソナの全体像を具体的に描き出すことが重要です。
ペルソナの内面を詳細に設定することで、よりリアルな人物像を作り出し、効果的なマーケティング活動を行うことができます。
広報活動のペルソナとは? の まとめ
・ペルソナによりターゲットの共有が容易になる
・ユーザー視点からの開発が可能になる
・ペルソナ設定は細かいところまで設定しておくことが大事
広報とペルソナの関連性を理解することで、効果的なマーケティング戦略を構築することができます。
ペルソナ設定の際は、データの信頼性を確保し、現実的な人物像を描き出すことが重要です。その上で、チームでの共有やユーザー視点からのアプローチを意識することで、より効果的な広報活動を展開することができます。
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