はじめに:「専門知識があるか」だけでは選べない

厚生労働省が公表した令和6年度「能力開発基本調査」によれば、能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は79.9%に上ります。その中でも「外部の教育訓練機関や講師の情報が少ない」「適切な講師の選定が難しい」という声は研修担当者に根強く残っています。 (出典:厚生労働省「令和6年度能力開発基本調査」

脱炭素・カーボンニュートラルをテーマにした研修はその難しさが際立ちます。専門性が高い一方、「講義が難しくて社員が眠くなった」「理解はできたが現場に活かせない」という失敗事例が多いテーマでもあります。

外部講師の選定で失敗しないために必要なのは、「専門知識があるか」の一点突破ではありません。この記事では、大企業の研修担当者が発注前に確認すべき5つのポイントをチェックリスト形式で整理します。

チェックポイント①:脱炭素・環境分野の専門知識は「使える」レベルか

最初の確認ポイントは、知識の深さではなく「現場で使える言葉で話せるか」です。

脱炭素の知識には階層があります。国際条約・政府目標・Scope1〜3・業界別の排出構造など、体系的に整理されていないと、研修中に受講者からの質問に対応できなかったり、自社の事業文脈と結びつけた説明ができなくなります。

確認方法として有効なのは、講師が書いたコラムや記事を読むことです。一次情報(環境省・経産省・業界団体など)を正確に引用しているか、説明が体系的かどうかがわかります。実績紹介だけで自分の言葉による発信がない講師は、知識の深さの確認が難しくなります。

チェック項目
  • 環境省・経産省など一次情報を正確に引用した発信があるか
  • カーボンニュートラル・脱炭素・ネットゼロ・Scope1〜3を使い分けて説明できるか
  • 自社の業種・業態に関連した知識を持っているか

チェックポイント②:一方通行ではない手法を持っているか

産労総合研究所の「2024年度教育研修費用の実態調査」によれば、今後1〜3年で教育研修費用を「増加させる見込み」とする企業は59.5%に上ります。その理由として「人的資本への投資」が挙げられており、研修の質と効果への期待が高まっています。 (出典:産労総合研究所「2024年度教育研修費用の実態調査」

費用対効果が問われる環境において、「講義を聴いておしまい」の研修は評価されません。受講者が主体的に考え、気づきを得る設計があるかどうかが、研修担当者として上司や経営層に説明できる成果につながります。

脱炭素というテーマは、正解がひとつではないトレードオフの連続です。エネルギーコスト・排出量・経済成長をどう両立させるか。こうした複雑な問題は、ワークショップやゲームのように参加者が実際に判断を下す体験を通じることで、はじめて「自分事」として腹落ちします。

チェック項目
  • ワークショップ・グループワーク・体験型ゲームなどの双方向手法を持っているか
  • 受講者が「考える」場面が設計されているか
  • 研修終了後に受講者が職場で活用できる何かが残るか

チェックポイント③:自社の業種・規模・受講者層に合わせたカスタマイズができるか

大企業の研修担当者が外部講師に感じる不満の代表が「汎用的すぎて刺さらない」です。一般的な脱炭素解説は世の中に溢れています。研修として価値を出すには、自社の業種・受講者の職層・現場の課題と結びついた設計が不可欠です。

確認すべきは、過去に「どんな企業」の「どんな層」に対して研修を行ってきたかです。製造業・エネルギー・商社・金融など業種によって、脱炭素への関わり方もScope3の構造も異なります。業種を問わず「どんな企業にも対応できます」という講師より、自社に近い実績を持つ講師の方が安心です。

チェック項目
  • 自社業種での研修実績があるか、または近い業種の実績があるか
  • 管理職・一般社員・新入社員など受講者の階層に合わせた設計ができるか
  • 研修前に自社の状況をヒアリングするプロセスがあるか

チェックポイント④:「研修当日だけ」で終わらない設計があるか

研修の効果は当日で決まりません。事前の情報共有・当日の設計・研修後のフォローがセットになって初めて定着します。特に脱炭素のような抽象度が高いテーマは、研修後に職場で使われなければ意味がありません。

研修担当者として押さえておきたいのは、「この研修で受講者に何ができるようになってほしいか」という到達目標を講師と共有できるかどうかです。到達目標を持たない研修は効果測定もできず、次年度の予算交渉にも使えません。

チェック項目
  • 研修の到達目標を明確に設定・共有してもらえるか
  • 受講者アンケートや理解度確認などの効果測定手段があるか
  • 研修後に職場で使える資料・ツールの提供があるか

チェックポイント⑤:信頼性を第三者の視点から確認できるか

どんなに立派なプロフィールでも、発注してみないとわからないのが外部講師の実態です。そのため、第三者の評価を確認することが重要です。

確認できる順に優先度を整理すると以下の通りです。

実際の受講者・担当者の声(導入事例・インタビュー)が最も信頼性が高く、次いで講師自身が書いたコラムや記事(知識・姿勢の確認)、そして所属団体・資格・登壇実績の順です。

特に大企業の研修担当者は「この講師に頼んで大丈夫か」という社内説明責任があります。導入事例のページに企業名・担当者名・具体的なコメントが掲載されているかどうかは、信頼性の重要な判断基準になります。

チェック項目
  • 導入事例・受講者の声が具体的に掲載されているか
  • 講師自身の発信(ブログ・コラム・SNS)で知識と姿勢が確認できるか
  • 問い合わせ前に概算の進め方・流れが確認できるか

まとめ:5つのチェックポイント一覧

脱炭素研修の外部講師を選ぶ5つのチェックポイント図解
チェックポイント確認方法
①脱炭素の専門知識が「使える」レベルか講師の記事・コラムを読む
②一方通行でない手法を持っているか研修プログラムの設計を確認
③自社業種・受講者層へのカスタマイズができるか過去の実績・ヒアリングプロセスを確認
④研修後の定着まで設計されているか到達目標・効果測定の有無を確認
⑤第三者の評価で信頼性を確認できるか導入事例・受講者の声を確認

このチェックリストを手に、ぜひ複数の講師を比較検討してみてください。株式会社ジョブオールもその候補のひとつとして、お気軽にお問い合わせください。

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参考一次情報

よくある質問

Q1. 外部講師への依頼は何ヶ月前から始めるべきですか?

A. 大企業の場合、社内稟議・日程調整・事前ヒアリングを考慮すると、研修実施の3〜6ヶ月前には打診を始めることをおすすめします。特に年度末・年度初めは依頼が集中するため、早めの動き出しが重要です。

Q2. 脱炭素研修は何時間・何回くらいが適切ですか?

A. 初回導入研修であれば2〜3時間の単発プログラムが一般的です。管理職向けと一般社員向けで内容を分けたり、複数回に分けて段階的に理解を深める設計にしたりするケースもあります。自社の目標に合わせて講師と相談して決めることをおすすめします。

Q3. カードゲームを使った研修は、どんな階層に向いていますか?

A. 新入社員から管理職まで幅広い階層に対応できます。カードゲームの性質上、知識の有無にかかわらず参加できるため、部門横断の混合グループ研修にも適しています。

Q4. 研修の効果をどう上司・経営層に説明すればよいですか?

A. 受講前後のアンケート(理解度・意識変化)の比較が最もシンプルな説明材料になります。加えて「研修後に受講者が何をするようになったか」という行動変容の事例があると説得力が増します。講師に事前に効果測定の設計を依頼しておくことをおすすめします。

この記事は株式会社ジョブオールが提供する脱炭素研修の知見をもとに作成しました。研修の詳細・ご相談はお問い合わせください。